不当解雇2026年5月16日

派遣切り・派遣社員トラブル|中途解約・3年ルール・労働契約申込みみなし・直接雇用拒否への対処法【2026年版】

はじめに

「派遣先から『来月で契約を終了します』と中途解約を通告された」「派遣先で3年経つのに直接雇用化の話が一切ない」「3年ルールを回避するため、同じ業務で別の派遣会社に切り替えられた」「派遣会社(派遣元)から『派遣先がなくなったのでクビ』と告げられた」「業務委託扱いだったのに実態は派遣(二重派遣)だった」――こうした派遣社員特有のトラブルは、派遣元・派遣先・派遣労働者の三角関係労働者派遣法の複雑な規制が絡み、対応にも特殊な知識が必要です。

派遣社員は労働契約法上は派遣元(派遣会社)の労働者ですが、実際に就業するのは派遣先であり、トラブル時の責任所在が分かりにくいのが実情。一方で、労働者派遣法は派遣労働者保護のため、中途解約規制・3年ルール・労働契約申込みみなし制度・雇用安定措置義務など多重の保護を用意しています。

本記事では、派遣社員特有の被害類型、中途解約への損害賠償、3年ルールと労働契約申込みみなし制度、偽装請負との交差、休業手当請求、雇用安定措置義務を2026年最新基準で詳しく解説します。

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派遣労働の法的構造

三角関係

  • 派遣労働者:派遣会社と労働契約を締結する従業員
  • 派遣元(派遣会社):労働者を雇用し派遣先に派遣する事業者
  • 派遣先:派遣労働者を受け入れ指揮命令を行う事業者

| 義務 | 派遣元 | 派遣先 |

|---|---|---|

| 賃金支払い | ◯ | × |

| 社会保険 | ◯ | × |

| 指揮命令 | × | ◯ |

| 安全配慮義務 | ◯ | (最判平11.7.27) |

| ハラスメント防止 | ◯ | ◯ |

| 同一労働同一賃金 | ◯ | ◯ |

派遣可能期間(3年ルール)

労働者派遣法40条の2により、同一の派遣労働者を派遣先の同一組織単位(課・グループ等)で受け入れられる期間は最長3年。例外として、無期雇用派遣・60歳以上・有期プロジェクト・産休育休等の代替派遣等は対象外。

雇用安定措置義務(労派法30条)

派遣元は同一組織単位で3年継続見込みの派遣労働者に対し、次のいずれかを講じる義務:

1

派遣先への直接雇用の依頼

2

新たな派遣先の提供

3

派遣元での無期雇用

4

教育訓練等のキャリアアップ措置

⇒ これらを講じない派遣元は労派法違反として行政指導の対象。

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派遣社員特有の被害パターン

パターン①:派遣先による中途解約

派遣契約期間中の一方的な打ち切り。労働者派遣法29条の2により、派遣先は新たな就業機会の確保または休業手当相当額の補填を派遣元に行う義務あり。

パターン②:派遣元による雇い止め

派遣先がなくなったことを理由に派遣会社が雇用契約を打ち切るケース。雇止め法理(労契法19条)無期転換ルール(5/5記事参照)で対抗可能。

パターン③:3年ルール回避目的のクーリング

3年到達直前に同一業務で別の派遣会社へ切り替える運用。労派法の脱法として違法評価される判例多数。

パターン④:直接雇用化拒否

3年経過時、派遣先が直接雇用化を拒否労働契約申込みみなし制度(労派法40条の6)で対抗可能な場合あり。

パターン⑤:偽装請負

「業務委託契約」「請負契約」と称しつつ実態は派遣。労派法40条の6による直接雇用みなしの効果が発生。

パターン⑥:二重派遣

派遣先からさらに別会社へ派遣される違法形態。労派法・職業安定法44条違反。

パターン⑦:派遣先でのハラスメント

派遣先での指揮命令者からのパワハラ・セクハラ。派遣元・派遣先の双方に措置義務あり。

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重要判例

三菱重工長崎造船所事件(最判平11.7.27)

派遣先の安全配慮義務を肯定。派遣労働者の労災に対して派遣先も責任を負う。

松下プラズマディスプレイ事件(最判平21.12.18)

偽装請負状態での労働者保護につき、派遣先と派遣労働者の黙示の労働契約を否定したが、後に労働契約申込みみなし制度(40条の6)の導入根拠となった重要判例。

コーセーアールイー事件(東京地判令1.6.17)

派遣先による中途解約につき、派遣元による休業手当(労基法26条)支払義務を肯定。

ハマキョウレックス事件(最判平30.6.1)

派遣労働者ではないが、有期労働者の待遇格差につき労契法旧20条(現パートタイム・有期雇用労働法8条)を解釈。派遣労働者にも類推適用。

日本郵便事件(最判令2.10.15)

派遣ではないが非正規労働者の待遇格差判断。派遣労働者の待遇についても影響大。

直接雇用申込みみなし事件(複数地裁判決令3〜5年)

偽装請負・違法派遣に対する労派法40条の6の適用事案が蓄積中。

中途解約への対処

派遣先の補償義務(労派法29条の2)

派遣先は中途解約時:

1

新たな就業機会の確保を派遣元に依頼

2

休業手当・解雇予告手当相当額を派遣元に賠償

派遣労働者の権利

| 権利 | 内容 |

|---|---|

| 休業手当(労基法26条) | 派遣元から平均賃金60%以上 |

| 解雇予告手当(労基法20条) | 30日前予告なき解雇時 |

| 雇い止め無効(労契法19条) | 雇用継続合理的期待ある場合 |

| 派遣元の雇用安定措置請求 | 別の派遣先の紹介等 |

派遣元への請求

派遣先がなくなったことを理由とする雇い止めも、雇用契約は派遣元と労働者間にあるため、派遣元への賃金請求・雇用継続請求が可能。

労働契約申込みみなし制度(労派法40条の6)

概要

派遣先が以下の違法派遣を行っていた場合、その時点で派遣先が派遣労働者に対し直接労働契約の申込みをしたものとみなされる制度。

対象となる違法派遣

| 違法類型 | 内容 |

|---|---|

| 派遣禁止業務での派遣受入れ | 港湾運送・建設・警備・医療等 |

| 無許可派遣事業者からの派遣受入れ | 派遣業許可なし事業者 |

| 派遣可能期間(3年)超過の派遣受入れ | 3年ルール違反 |

| 偽装請負 | 請負を装った実質派遣 |

適用効果

労働者が承諾の意思表示をすれば、派遣先との直接労働契約成立。労働条件は従前の派遣条件と同一。

適用の限界

派遣先が「違法と知らず、知らなかったことに過失なし」を立証すれば適用免れる場合あり(善意無過失抗弁)。

派遣社員のトラブル対処手順

ステップ①:契約書・指揮命令系統の確認

  • 派遣契約書
  • 就業条件明示書
  • 業務指揮命令の実態(誰の指示で動いていたか)

ステップ②:派遣元との交渉

派遣元に雇用安定措置義務の履行休業手当新派遣先提示を求める。

ステップ③:派遣先との交渉

派遣先に直接雇用申込みみなし制度の適用を主張。

ステップ④:労働局・労働基準監督署への申告

労派法違反は都道府県労働局(需給調整事業課)、賃金未払い・休業手当は労基署へ申告。

ステップ⑤:労働審判・訴訟

直接雇用地位確認、賃金請求、損害賠償を労働審判(3回・3ヶ月)または通常訴訟で。

回収相場

| 内容 | 相場 |

|---|---|

| 中途解約による休業手当 | 平均賃金60%×契約残期間 |

| 解雇予告手当 | 平均賃金30日分 |

| 直接雇用申込みみなし(適用認容) | 派遣先での地位確認+未払賃金 |

| 雇い止め無効+バックペイ | 月給×係争期間(数百万〜数千万) |

| 偽装請負での労働者性認定 | 残業代・有給・社保遡及で数百万〜 |

| ハラスメント慰謝料 | 50万〜300万円 |

よくある質問(Q&A)

Q1. 派遣先から「来月で契約終了」と一方的に言われました。

A. 契約期間中の中途解約なら派遣元に休業手当(労基法26条)を請求可能。派遣元が新派遣先を提示できない場合も雇用契約は継続しているため賃金請求権あり。

Q2. 3年ルールが終わる直前に別の派遣会社へ切り替えると言われました。

A. クーリング悪用として労派法の脱法可能性。組合・労働局への相談、直接雇用申込みみなし制度の適用検討。

Q3. 「業務委託契約」ですが実態は派遣のような働き方です。

A. 偽装請負の可能性大。労派法40条の6による派遣先への直接雇用みなしの効果あり。5/6偽装請負記事も参照。

Q4. 派遣先でのパワハラについて派遣会社が動いてくれません。

A. 派遣元・派遣先の双方に措置義務があります。派遣先にも書面で対応要求、応じなければ労働局・労働審判へ。

Q5. 派遣社員でも有給休暇は取れますか?

A. はい。労基法39条は雇用形態を問わず適用。6ヶ月勤続で10日付与。派遣元が拒否すれば違法。

Q6. 派遣の無期転換ルールは適用されますか?

A. はい。派遣元との有期契約が通算5年超で無期転換申込権が発生(5/5記事参照)。派遣先での3年ルールとは別制度。

まとめ

派遣社員のトラブルは、三角関係と派遣法の特殊規制を理解すれば、派遣元・派遣先双方への請求で十分対抗可能です。

1

派遣先の中途解約には派遣元への休業手当請求

2

3年ルール超・偽装請負には労働契約申込みみなし制度

3

派遣先のハラスメントには派遣元・派遣先双方への措置義務追及

「派遣だから仕方ない」は誤り。労派法はあなたを強く守っています。労働問題に強い弁護士へご相談ください。

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この記事の監修者

仕事トラブルNavi 編集部(労働問題専門弁護士監修)

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この記事の著者

仕事トラブルNavi 編集部

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