労災認定の基準と申請手順|仕事上の怪我・過労死・精神疾患への対応ガイド
「仕事中に怪我をしたが、会社が労災申請を拒否している」「長時間労働が続いてうつ病になったが、労災になるのか?」「過労死した家族の労災認定を申請したい」
このような場合、労働者災害補償保険(労災保険)を活用することで、医療費・休業補償・障害補償・遺族補償を受けることができます。本記事では、労災認定の基準と申請手順を解説します。
労災保険とは
労災保険は、業務中・通勤中に発生した怪我・病気・死亡に対して補償を行う国の保険制度です。
保険料は全額会社負担であり、雇用されているすべての労働者(パート・アルバイト・派遣社員含む)が対象です。
労災認定の基準
業務災害(仕事中の怪我・病気)
以下の2つの要件を満たす場合に業務災害と認定されます。
- 業務遂行性:業務中に発生したこと
- 業務起因性:業務が原因であること
#### 具体的な例
- 工場や建設現場での転倒・落下事故
- 運搬作業中の腰痛・腱鞘炎
- 有害物質への暴露による職業病
- 長時間労働による心臓疾患・脳疾患(過労死)
- パワハラ・過重労働によるうつ病・精神障害
通勤災害
合理的な経路・方法での通勤中の事故が対象です。
注意:寄り道(私的な行為)がある場合、その後の経路は通勤とみなされないケースがあります。
精神障害(うつ病等)の労災認定
長時間労働やハラスメントが原因でうつ病等の精神障害を発症した場合も労災対象です。
認定基準(精神障害)
「業務による心理的負荷が強度であること」を評価するために、以下を確認します。
- 時間外労働時間(月80時間以上が発症前2か月間続いた場合など)
- 職場での出来事(パワハラ・セクハラ・異動・解雇宣告・倒産等)
- 業務以外の要因が大きくないこと
過労死・過労自殺の労災認定
過労死(脳・心臓疾患)の認定基準
- 発症前1か月の時間外労働が100時間以上
- 発症前2〜6か月の1か月平均時間外労働が80時間以上
過労自殺の認定
精神障害の労災認定がなされ、かつ業務が自殺の原因と認められる場合、遺族が補償を受けることができます。
労災申請の手順
Step 1:療養補償給付(治療費の補償)
労災指定医療機関で受診(医療費は全額労災負担)
「療養補償給付たる療養の給付請求書」を医療機関に提出
非指定医療機関の場合は一時立替後に返還請求できます。
Step 2:休業補償給付(休んでいる間の補償)
4日以上仕事を休んだ場合、給付基礎日額の60%(特別支給金含めると80%)を受け取れます。
「休業補償給付支給請求書」を労働基準監督署に提出
医師の証明が必要
会社が申請してくれない場合
会社が労災申請を拒否・妨害しても、労働者本人が直接労働基準監督署に申請可能です。
弁護士・社労士への相談が有効なケース
- 会社が協力的でない
- 精神障害・過労死など認定が難しいケース
- 第三者(同僚・発注先等)の行為が原因の場合(別途民事賠償請求が必要)
- 認定が下りた後の会社への損害賠償請求
あわせて読みたい
まとめ
労災申請は労働者の権利です。
まず療養中の医療機関で労災申請の意思を伝える
会社が非協力的でも直接労働基準監督署に申請できる
過労死・精神障害など複雑なケースは弁護士・社労士に相談
ためらわず、早めに動くことが大切です。
あわせて読みたい
この記事の著者
仕事トラブルNavi 編集部
残業代請求・不当解雇・ハラスメント・労災など仕事のトラブルに関する情報を、弁護士・社会保険労務士などの専門家と連携して発信しています。実際の相談事例をもとに、読者の皆さんが適切な行動を取れるよう正確な情報をお届けします。