不当解雇2026年4月18日

試用期間中の解雇・本採用拒否は違法になる?判断基準と撤回・慰謝料請求の全手順【2026年版】

「入社して2か月で『試用期間だから』と突然解雇された」「試用期間満了とともに本採用を断られたが、理由に納得できない」「試用期間延長を一方的に告げられ、最終的に解雇された」

試用期間中の解雇や本採用拒否は、一般には「会社が自由に判断できる」と思われがちですが、法律上は通常の解雇とほぼ同じ厳しい規制が及びます。不当な試用期間解雇に遭った場合、解雇の無効確認・バックペイ・慰謝料を請求できる可能性があります。本記事では、試用期間中の解雇・本採用拒否の違法性と具体的な対処法を解説します。

試用期間とは?法的性質を正しく理解する

試用期間の定義

試用期間とは、採用された労働者の適格性を会社が評価するための期間です。入社後3か月〜6か月程度(長くても1年)に設定されるのが一般的です。

「解約権留保付労働契約」とは

法律上、試用期間中の雇用契約は「解約権留保付労働契約」と呼ばれます。これは「労働契約は既に成立しているが、会社は一定の場合に解約できる権利を留保している」という意味です。

試用期間中の解雇と本採用拒否の違い

| 項目 | 試用期間中の解雇 | 本採用拒否 |

|---|---|---|

| タイミング | 試用期間中 | 試用期間満了時 |

| 法的性質 | 留保解約権の行使 | 留保解約権の行使 |

| 判断基準 | 通常の解雇よりやや緩和 | 通常の解雇よりやや緩和 |

| 予告義務 | 入社14日経過後は30日前予告必要 | 30日前予告必要 |

重要なのは、どちらも「解雇」と同じ法的枠組みで判断されること。会社が自由にクビにできるわけではありません。

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試用期間中の解雇が「違法」になる判断基準

最高裁は試用期間中の解雇について、以下の基準を示しています(三菱樹脂事件/最大判昭48.12.12)。

「採用決定後における調査の結果または試用中の勤務状態等により、当初知ることができず、また知ることが期待できないような事実を知るに至った場合において、そのような事実に照らし、その者を引き続き当該企業に雇用しておくことが適当でないと判断することが、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に相当と認められる場合」にのみ解雇が許される。

つまり、違法となる典型的なケースは次のとおりです。

①採用時に既に会社が把握できた事実を理由とする解雇

  • 学歴・職歴・資格 → 応募時に履歴書で確認できたはず
  • 性格・価値観 → 面接で確認すべきだった
  • 家族構成・結婚予定 → 採用段階で把握可能

②指導・教育を十分に行わないまま「能力不足」と判断

試用期間は「評価期間」であると同時に「教育期間」でもあります。まともに指導もせずに「能力がない」と解雇するのは違法です。

③客観的な評価基準が存在しない

  • 「なんとなく合わない」「社風に馴染んでいない」は違法
  • 評価シート・指導記録がない恣意的な解雇は無効

④差別的・ハラスメント的な理由

  • 妊娠・出産・育児
  • 病気・怪我(業務外)
  • 労働組合加入・労働条件への意見表明
  • 性別・人種・思想信条
  • パワハラ被害を訴えたこと

代表的裁判例

  • 三菱樹脂事件(最大判昭48.12.12):試用期間解雇の判断基準を確立
  • 神戸弘陵学園事件(最判平2.6.5):試用期間延長の合理性を厳格に判断
  • 電機学園事件(東京地判平14.6.20):指導不足のまま「能力不足」と解雇したのは違法

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よくある違法な試用期間解雇のパターン

パターン1:入社数日〜2週間での解雇

「想像と違った」「相性が合わない」などの理由で2週間以内に解雇されるケース。短期間では能力も勤務態度も正確に評価できず、違法となる可能性が極めて高いです。

パターン2:能力評価の記録がない

「仕事ができないから」と言われても、指導内容・改善指示・再評価の記録が一切ないまま解雇されるパターン。会社側に立証責任があり、記録がなければ違法判断に傾きやすいです。

パターン3:試用期間の一方的延長

「もう少し様子を見たい」と勝手に試用期間を延長するのは原則違法です。延長には、

  • 就業規則または契約書に延長の根拠規定がある
  • 延長する合理的理由がある
  • 労働者の同意がある

のすべてが必要です。

パターン4:病欠・けが・妊娠を理由とする解雇

  • 業務外の病気・けがを理由とする解雇 → 就業規則の休職制度を利用させない解雇は違法
  • 妊娠・出産を理由とする解雇 → 均等法9条3項違反で当然無効

パターン5:ハラスメント被害を訴えた報復

パワハラ・セクハラを訴えた直後の「本採用拒否」は不利益取扱いとして違法です(均等法11条の2、労働施策総合推進法30条の2)。

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試用期間解雇への対処法

ステップ1:解雇通知を書面で受け取る

口頭で「クビ」と告げられた場合も、解雇通知書・解雇理由証明書を書面で請求しましょう(労基法22条)。会社は拒否できません。

ステップ2:解雇理由の具体性を確認する

解雇理由証明書に書かれた理由が、

  • 採用前から把握できた事実ではないか?
  • 具体的な指導・改善指示があったか?
  • 客観的な評価基準に基づいているか?

を確認します。抽象的な理由(勤務態度不良・協調性欠如等)は違法と判断されやすいです。

ステップ3:異議の意思表示をする

「本解雇を受け入れません。就労の意思があります」と、書面・メールで明確に伝えることが重要です。退職届は絶対に書かないでください。

「〇月〇日付の解雇通知につきましては、解雇理由に合理性がなく無効と考えております。今後も労務提供の意思があるため、就労させていただく所存です。」

ステップ4:証拠を集める

  • 採用時の募集要項・求人票・内定通知書
  • 労働契約書・就業規則(試用期間の規定)
  • 解雇通知書・解雇理由証明書
  • 指導・評価に関するメール・チャット
  • 業務日報・勤怠記録
  • 上司との会話の録音
  • 同期入社者の状況(自分だけ解雇か)
  • 医師の診断書(精神的被害を受けた場合)

ステップ5:労働局・弁護士に相談

  • 総合労働相談コーナー(無料・予約不要)
  • 都道府県労働局のあっせん制度
  • 弁護士への法律相談
  • 労働審判・地位確認訴訟

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解雇予告手当の請求

試用期間中の解雇でも、入社14日を経過した後の解雇には労基法20条の解雇予告義務が適用されます。

  • 30日以上前に予告 → 予告手当不要
  • 予告なし・14日以内の即日解雇 → 平均賃金の30日分を請求可能
  • 予告期間が30日未満 → 不足日数分の予告手当を請求可能

入社14日未満の即日解雇は予告手当が不要ですが、解雇自体の違法性は別途争えます

慰謝料・損害賠償の相場

| 被害の内容 | 慰謝料相場 |

|---|---|

| 短期間で不合理な解雇 | 30万〜100万円 |

| ハラスメント+解雇 | 100万〜300万円 |

| 差別・マタハラを伴う解雇 | 300万円以上 |

| バックペイ(地位確認認容時) | 解雇から解決までの賃金全額 |

バックペイは解雇日から判決確定・和解までの未払い賃金相当額で、勝訴すると数百万円〜1000万円超になることもあります。

よくある質問(Q&A)

Q1. 試用期間中は「お試し」だから解雇されても文句は言えない?

誤解です。試用期間中も労働契約は成立しており、解雇には合理的理由と相当性が必要です。自由に解雇できる期間ではありません。

Q2. 本採用を拒否されてから何日以内に動くべき?

退職の合意をしていない前提であれば、解雇時から2年以内(バックペイ)・3年以内(慰謝料)に訴訟を起こせます。ただし、できるだけ早く(通知から1か月以内)弁護士相談を始めるのが理想です。

Q3. 試用期間中の解雇は失業保険がもらえる?

  • 被保険者期間が短い(12か月未満)と通常の失業給付は出ないことがあります
  • ただし、解雇は特定受給資格者として扱われ、6か月以上の加入があれば受給可能です
  • ハローワークで「離職理由」を必ず確認しましょう

Q4. 試用期間中に退職を勧められたら?

退職届を書かないでください。退職勧奨は拒否でき、退職届にサインすると「自己都合退職」となり、解雇として争う余地がなくなります。「考えさせてください」と持ち帰り、弁護士に相談しましょう。

Q5. 試用期間の延長を言われたら同意すべき?

原則同意する義務はありません。延長規定が就業規則・契約書にない場合は無効です。延長に合意しないまま解雇された場合も、違法解雇として争えます。

Q6. 内定取消と試用期間中の解雇はどう違う?

  • 内定取消:入社前の解約。こちらも厳格に制限される(判例)
  • 試用期間中の解雇:入社後の解約。労働契約が既に始まっている

いずれも違法な場合は地位確認・損害賠償が可能です。

まとめ

試用期間中の解雇・本採用拒否は「会社の自由」ではなく、合理的理由がなければ無効です。

1

解雇理由証明書を書面で請求し、解雇理由の合理性を精査する

2

異議の意思表示を書面で残し、退職届には絶対サインしない

3

弁護士に早期相談し、地位確認・バックペイ・慰謝料を請求する

特に入社数週間での解雇・指導記録のない能力不足解雇・ハラスメント被害後の解雇は、違法と判断される可能性が極めて高いケースです。一人で諦めず、専門家に相談して正当な権利を取り戻しましょう。

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この記事の著者

仕事トラブルNavi 編集部

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